ぼんやり日記

毎日の記録

リバティおおさか

◎2020年5月28日(木)

 

 大阪人権博物館(リバティおおさか)に行った。中学生くらいの時行ったことがあると思っていたけど、ピースおおさかと勘違いしていた。だから最寄りの芦原橋駅で降りるのも初めて。大阪環状線はそれぞれの駅に発車メロディがあるが、大阪方面は大塚愛さくらんぼ」(桜ノ宮)やaiko「花火」(天満)など、かわいい系の印象が強い。天王寺より先へ行くのは久々なので、ドヴォルザーク新世界より」(新今宮)や文部省唱歌「大黒様」(今宮)を聞いて、濃いな~と思った。3秒くらいにこてこて感が詰まってる。芦原橋は地元の和太鼓集団「怒」の「祭」。

 

 芦原橋から新なにわ筋を歩いて向かう。規模の大きいマンションや公営住宅が沿道に並んでいて、ぽつぽつと空き地や公園があり、きれいに開発された街って感じ。住之江のポートタウンに既視感があった。でも、歩いていくと昔からある街だとよくわかる。浪速部落の主産業が和太鼓づくりだったので、バス停のベンチが和太鼓型だったり、太鼓屋又兵衛の屋敷跡の公園があったり。リバティも、部落の住民たちの寄付によって建てられた小学校の跡地らしい。歴史的な文脈のある地から離れさせられ、いったいほかのどの場所への移転が適切なんだろう。

 

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以下、展示の感想メモ。

 ・大正時代の子ども向け雑誌の付録。男児向けの「大正少年双六」は、立身出世を説く。女児向けの「婦人生い立ち双六」は、あるべき女性像を描く。どのルートでも上がりは「結婚」…。

 

 ・平本歩さんのパネル。2009年7月、大阪市営バスの車掌から、ストレッチャーでの乗車を拒否され、人権問題だと声を上げた。同年10月に乗務員らの実車研修に参加。ストレッチャーを見たことがない乗務員に、どうサポートすればいいか伝えた。市交通局では今後、車いすと同様に断らないと、正式に決めた。たった10年前にこんなことがあったとは驚いた。でもよく考えれば数年前のバニラエアの車いす乗車拒否のように、いまだ身体障害者が闘わざるを得ない立場なんだなと。ちなみに現在、平本さんは24時間のヘルパーの介助を受けながら、一人暮らしをしているらしい。ネットで調べると、やまゆり園の関連記事に出てきた。

 

 ・生命のコーナーで延々と響く赤ちゃんの泣き声。助産師さんらの励ます声も聞こえる。産道をイメージした箱の中をくぐりぬける、生まれ直し体験らしい。

 

 ・識字学級に通う女性の手記。「家がまずしいというだけなのに、べん教は金持ちの子だけのもので、まずしい家の子に、べん教させんでいいのか」。学校の先生や同級生、親にさえひどい扱いを受ける日々が綴られていた。子ども時代の体験を振り返って、言葉に書き残す、その行為自体もつらいだろう。でも、時を経てその一端に触れられてありがたい。

 

 ・被差別部落についての江戸時代の書物の紹介。幕末に来日した外国人が日本の清潔さに驚いたが、それは「非人が往来に落ちていた紙屑などを拾い集めていたから」。お金になりそうなものを拾うという目的もあるにしても、差別されてきた人々が実は日本のイメージ向上に貢献していたのか。

 

 ・特別展示の「HIV感染者とAIDS患者」。企画趣旨の説明パネルに目が入った。元々は常設展示だったが、大阪市から展示を縮小するように言われ、そのまま資金難でお蔵入りに。再開できぬまま、移転という名の立ち退きが決まった。最後に展示しようと、私設応援団が奔走したという。

 

 1時間半ほど滞在し、図録を買った。帰りに鶴橋でチーズチヂミを食べて、筋ホルモンを持ち帰った。